第39回全国選抜高校テニス九州地区大会のお礼

先日21日(月)をもって、選抜九州大会が終了しました。4年ぶりの九州大会、16年ぶりの選抜九州大会の熊本開催でありましたが、無事に終了することができたのは、ひとえに役員・補助員をはじめとする全ての皆様のご理解とご協力があったからこそであります。心より感謝申し上げます。

さて、この九州大会までの準備を振り返りますと、昨年度から動き始めました。3回に及んだ審判講習会(主審はさらにもう1回)、プレ大会を2回、準備委員会を5回、前回大会視察も数えると、多くの時間を大会準備に費やしてきました。

準備が順調に進んでいるなかで起きた4月の熊本地震。大会開催の根幹を揺るがす出来事でした。すぐに他県からも開催を心配する連絡が入りました。コートの被害状況の確認はもちろんでしたが、学校再開もままならない状態での返答は難しいことでした。そして目前に迫る6月の県高校総体への対応で追われ、あまりこのことばかり考え続けることもできない状況でした。

震災から間もない6月に熊本市・益城町以外で分散して開催した県高校総体。出場した皆さんが「総体ができたよかった」「テニスができてよかった」「楽しかった」と言ってくれたことが選抜九州大会の熊本開催への決意を固めさせてくれました。「この大会を開催することで、きっと熊本の高校テニス部が活気づく。そして、前を向いて元気を取り戻してくれる。」と確信しました。大会を終えた今、熊本で開催して良かったと心から感じています。

senbatsu_1大会期間中も幾多の困難がありました。特に19日(土)の降雨による2回の中断、試合終了予定時間の大幅な延長は想定外の出来事でした。19日の予定を順調に消化しておかないと、コート面数や役員・補助員の確保状況から考えるととても厳しい運営になることが予想されていました。もちろん各学校とも期末考査前の期間であり、予備日突入は考えられない状況でした。そのような中で、補助員の皆さんはコートの水取りを積極的にしてくれました。補助員だけでなく出場校までもお手伝いをしてくれました。補助員自ら家庭にも連絡をとって、時間延長の承諾と帰宅手段の確保をしてくれました。このことで当日予定した試合のほとんどを消化することができました。簡単な補食しか準備できませんでしたが、本当にありがとうございました。21日(月)の閉会式が終了した後に、挨拶をさせていただきました。やり遂げた充実感と感謝の気持ちなどのさまざまな感情をこらえることができず、思わず涙があふれ出てしまいました。話の内容は聞き取りづらかったと思います。申し訳ございません。

今回の選抜九州大会を熊本で開催したことで、多くの「レガシー」(遺産)が熊本にできました。私が他県開催の九州・全国大会を視察させていただいているなかで、熊本にも欲しかったものです。

  • トップレベルのプレーを体感する

senbatsu_2九州のレベルは本県と比べてとても高く、本当に上手な選手がたくさんいます。それだけではなく、どの選手も決してあきらめることなく、最後まで手を抜くことなく全力で、そして必死にプレーしています。そのようなプレーができるのは、日頃からの地道な練習の積み重ねがあってからこそです。今回も熊本県出身の選手が他県の代表校から出場していましたが、いつかは熊本の代表校が活躍してくれることを願っています。

  • より高いレベルの審判技術を身につける

senbatsu_3皆さんは観客としてではなく、審判として同じコートで時間を共有したことで、緊張感や責任感をリアルタイムで味わうことができたと思います。間違いなく審判技術は向上しています。この緊張感で各高校が日頃の練習に取り組めば、自然と熊本県のレベルは審判だけでなくプレーも向上するはずです。

今後も県内各種大会では、最終日には4人制審判を導入していきたいと考えています。この大会だけで終わりにせずに、各学校でも校内戦などで継続していただければと思います。

  • 上位大会の盛り上がりを体感する

senbatsu_4「テニスでは声を出してはいけない」という迷信が県内にはまだ残っているようです。

しかし、今大会はいかがでしたか。どのチームも一生懸命大きな声で応援をしていましたね。試合開始前には応援歌を歌っていましたね。プレーヤーも一球一球に思いを込めて声を出しながら打っていましたね。それらはあたかも自分たちの存在を表現するかのように・・・。そして、本当に「全国大会に出場したい」という思いから・・・。

今回ご来場いただいた県内の方々が、口々に「こんなにテニスの大会って盛り上がるんですね。声を出すのはソフトテニスだけかと思っていました。」等と言われていました。そうではありません。テニスも声を出して応援してもかまいません。今大会のような盛り上がりを県内大会で作り上げることができれば、きっとテニス部に入る高校生が増えてくれると思うし、テニスのことが好きになれると思います。

現在の県内大会では、未だに静かにプレーヤーする人が多いです。県内トッププレーヤーも同様です。そうではなくて、テニスを通じて自己表現をしてもらいたいと思っています。もちろんルールやマナーを守ってのことですよ・・・。

  • テニスを通じて絆を深める

senbatsu_54年に1度の九州大会を開催したことで、私たちはたくさんの絆ができました。県内高校生や先生方はもちろんですが、出場校の皆様をはじめとした今大会に関係した全ての方々と絆ができました。特に今回は熊本地震もあり、幾多の苦難を乗り越えた大会開催となったために感慨もひとしおです。この絆を大切にして、これからも前進していきたいと思います。

今大会での高校生の皆さんの活躍を目の当たりにして、私は熊本県の高校テニスに誇りを感じることができました。いろいろな意味でようやくスタートラインに立ちました。皆さんには「伸びしろ」がたくさんあります。いや、「伸びしろ」しかありませんこれからも各種大会や高体連の活動をとおして、テニスに親しむ皆さんをしっかりサポートしていきます。そして、「高校生の時、テニスをやっててよかった」「これからもテニスを続けていきたい」と思うことができるようにしてあげたいと心から思っています。これからの熊本県高校テニスが楽しみです。

平成28年11月25日

熊本県高体連テニス専門部

県立鹿本商工高等学校 秋吉 博之